パチスロ機・ミリオンゴッドシリーズを象徴するのが、1/8192で訪れる至福の瞬間「GOD揃い」です。
長方形の中にシンプルに「GOD」と記されたインパクトの大きい図柄、中段にテンパイしただけで二確という分かりやすさ、問答無用で大量獲得できるATが確定するというシンプルさ。
ゲームとしてギャンブルを楽しむプレイヤーにとって、GOD揃いはゲームの奥義、必殺技のような存在であり、それゆえに出現した時の期待感と高揚感、インパクトはあらゆるパチスロを含めての随一です。
そんなGODシリーズの歴史は古く、爆裂AT機の流行した2000年代初頭まで遡ります。この記事ではGODシリーズの歴史を振り返るとともに、GOD揃いの恩恵がどのように変化してきたかをまとめてみたいと思います。
4号機時代
ミリオンゴッド 初代
自殺者を出したとも言われる初代ミリオンゴッド。文字通りのミリオン(=50000枚)が理論上達成できる破壊力を掲げ、実際にそれくらいの大金が動くことも珍しくない台でした。登場してから一年後に、そのギャンブル性の高さゆえにすぐにホールから撤去されてしまいます。裏モノ・闇スロを除けば、パチスロ史上最強のギャンブル台であることは間違い無いでしょう。
GOD揃いの恩恵は「純増10枚弱のAT500ゲーム」というとてつもないものでした。5000枚確定役です。確率に対する一撃のインパクトでいったら、初代のGOD揃いを凌ぐフラグはパチスロ史上で並ぶものがないでしょう。
ブラックアウトフリーズ・ハテナナビ・遅れなど、GOD揃いに伴うシリーズお馴染みの演出はこの時に既に完成していました。液晶演出自体が草創期にあった当時、「画面が突然消える」という演出のインパクトは絶大であり、後に多くのパチンコ・パチスロがこの演出を模倣するようになります。
あらゆる爆発性を確定役に集約させた反面、GOD揃い・赤7揃い以外のゲーム性は死んでいるも同然。低設定では天井以外では滅多に当たることがなく、掃除機のように金を吸い込み続ける悪魔のような台でした。
ゴールドX/XR (2003)
ミリオンゴッドがあまりの射幸性の高さゆえに撤去対象となってしまったため、その代わりとして導入されたのがこのゴールドXでした。ところがゴールドXは攻略打法によって簡単に客が勝てる仕様となっており、その対策としてゴールドXRがさらにリリースされることになります。
ゴールドXRは、ミリオンゴッドのゲーム性をそのままにスペックダウンを図った台です。通常時にリプレイが揃うようになったことでコイン持ちがかなり改善され、その分をGOD揃い・赤7揃いの恩恵を下げることで帳尻を合わせています。とはいえ、1セット50G・純増10枚のATは十分に破壊力を持つものでした。
GOD揃いの恩恵は、純増10枚弱のATが300ゲーム(高設定のみ100ゲームあり)。ミリオンゴッドと比べてスペックダウンしたとはいえ、それでも一撃3000枚フラグなのは強力です。
ちなみに2003年はスロット「北斗の拳」が出た年でもあります。「北斗の拳」があまりに人気だったため、ゴールドXRはその影に隠れてしまったわけですが、パチスロを代表する二大ブランドの対決はこの時から始まっていたのです。
しかし、時代が5号機へと移行すると、システム上ミリオンゴッドの爆裂性を演出することは不可能となりました。
ゴールドXRを最後に、ゴッドシリーズは10年弱もの間沈黙を強いられます。ミリオンゴッドブランドを別のゲーム性に転用するという選択もあったわけですが、ユニバーサルはそうはしなかった。爆裂性の削がれたゴッドはゴッドではない、そう判断したのでしょう。そして、このようにゴッドを安売りしない同社の判断が、後に「神々の系譜」という名機に繋がるのです。
5号機時代
ミリオンゴッド〜神々の系譜 (2011)
長い沈黙を経て復活した「ミリオンゴッド」ブランド。「神々の系譜」は2.4枚の純増、50枚で25ゲームという低ベースのコイン持ちを合わせ、当時の5号機の限界まで荒波を演出しようとした機種です。
遅れやブラックアウトなどの初代を継承した演出群に加え、確定役の出現を示唆する扉演出、大量ストックを示唆する「アメイジング・グレイス」など、ゴッドシリーズを語る上では外せない機種でもあります。新しく追加された演出はどれもハイセンスで、いかに「神々の系譜」が期待を背負って世に送り出されたかが分かります。
GOD揃いの恩恵は、ART5セット+50%以上のループストック。単純計算で最低でも1200枚ほどの獲得です。4号機時代と比べるとインパクトが少なくなりましたが、系譜の魅力はGOD揃い以外からも十分な爆発があること。エクストラゲームや天井からの連チャン中にGOD揃いを引くというのがこの機種での王道的な出し方。トータルの期待値でいえば2000枚前後は期待できるのではないでしょうか。
万枚達成事例も数多く、爆裂性を求めるスロッターを虜にした台です。ギャンブル性は初代に劣るものの、秀逸な演出やゲームシステムがその弱点を補い、「ゴッド」のイメージをいい意味で一新しました。
ミリオンゴッド〜神々の系譜〜ZEUS Ver. (2013)
名前が似ているためマイナーチェンジ台なのかと思いきや、内部システムから筐体、演出まで大きく変更が加えられた台です。
主な変更点は、黄7の払い出し枚数が15枚から9枚に変更されたこと、純増は2.2枚に低下したこと、ウーハー付き筐体(バズーカ筐体)に変更されたこと、滞在中の初期ゲーム数が200ゲームになる裏モードを搭載したことなど。ざっくりとまとめると、硬派な部分を時代の流行にあった演出に変えたものです。
GOD揃いの恩恵は、500ゲーム+GG1セット以上+25%以上のループストック。600ゲーム以上のARTが保証されているため、ゲーム数だけを見ると前作よりも大きな恩恵になっていますが、その分純増が下がっているので実質的には同程度。
系譜同様、波の荒さと爆発力を兼ね備えた台ではあったものの、出玉速度が遅いことや当時の他メーカーが続々と爆裂機をリリースしていたこともあり、大きく人気を得るには至りませんでした。
アナザーゴッドハーデス (2014)
ゴッドシリーズとしては初のスピンオフ作品。シリーズの中では初めてAT機として出され、2.9枚という高純増を実現した台です。
旧2作と比べるとさらに射幸性を増加させた台であり、ゴッドを含む確定役が引けなければ設定6でも機械割が100%を切るという尖ったスペックを持っていました。上乗せの0ゲーム連や特定ゲーム数で訪れるチャンスゾーンなど、当時のAT機で流行していた要素を取り込むことでゴッドシリーズの単調さを解消しようとした台です。
スピンオフ作品ともあって、GOD揃いは変則的な恩恵になっています。ゴッドステージ(AT100ゲーム)+上乗せ特化ゾーン(ジャッジメント)3つ+50%以上のループストック。ジャッジメントで上乗せするゲーム数は平均すると1つあたり100〜200ゲームであり、純増2.9枚×400〜500ゲーム程度上乗せする計算です。
ここに消化中の上乗せ抽選も加えると、平均したGODの期待枚数は2500枚〜3000枚ほど。後発の凱旋やポセイドンもこれに敵うものではなく、5号機のゴッドシリーズでは最強のフラグです。
ハーデスのGOD揃いを語る上で欠かせないのは、AT中のリールロック演出です。突如リールが固まってステップアップが始まり、ステップが3段階まで上がると確定役、4段階まで上がるとGOD揃いが確定する激アツ演出。出現頻度の低さ、ステップアップが進んでいく絶妙な間、リールロック後にストップボタンを押す緊張感。多くのスロッターを虜にした演出です。
ミリオンゴッド〜神々の凱旋〜 (2015)
5号機AT機が規制されてしまう直前に出された、ゴッドシリーズの王道を受け継ぐ「神々の凱旋」。
「凱旋」という名前を体現するように初代・系譜の王道を継承しつつ、シンプルながらも斬新なチャンスゾーン「G-STOP」や、赤7揃いから突入する「SGG」の二大新演出を搭載。どちらも射幸性とゲーム性を両立し人気を博しました。
GOD揃いの恩恵は「AT5セット(500G)+25%以上のループストック」という、初代・系譜を意識したシンプルかつ王道の恩恵を継承しました。純増が低い分、ゴッド揃いに伴うループストックは冷遇されており、5セットのみで終わってしまうことも多々あります。
ハーデスのようにGOD揃いなのに少ない枚数で終わることがなくなった反面、凱旋のGOD揃いには爆発力はなく、ハーデスのように単体で3000枚〜5000枚という大量獲得を吐き出せる性能はありませんでした。
しかし、1/8192を引くだけで最低でも純増3枚×500Gが保証される安定感、上乗せは必ず100G単位で行われるというシンプルさはハーデスとは別の方向性で存在感を確立し、ファンを拡大することに成功します。
凱旋のゴッド揃いで印象的なのがこの演出。ゴッドステージ中にレバーオンフリーズを引くことで発生するモノクロゴッドはまさに神々しい演出です。ハレルヤが流れるのも雰囲気にマッチしていて良いですね。
アナザーゴッドポセイドン (2017)
GODシリーズのスピンオフ2作目。純増への規制が入った後の台なので、純増枚数はハーデス以前の低純増(純増%%枚)に戻りました。
GOD揃いの恩恵は、ART100ゲーム(ゴッドステージ)+ART2セット+特化ゾーン「トライデントアタック」+ループストック。トライデントアタックは111Gの上乗せを50%ループ(初回のみ33%)で乗せ続ける特化ゾーンですが、ループ率が固定のため大きな上乗せは期待しにくいです。GOD揃い自体の期待値は1500〜2000枚程度ではないでしょうか。
純ボーナス「イージスモード」とか、ストックした盾の回数だけ上乗せ抽選を受けられる「アトランティスモード」とか、プロジェクトマッピングとか、とにかく流行している色々なゲームシステムを詰め込んだ台です。詰め込みすぎたために中途半端になってしまった台でもあります。
パチスロが生まれた時代も悪かったですね。低ベース・高純増で出せていれば評価されたかもしれません。音楽の質は非常に高く、サウンドトラックは聞きごたえがあるためおススメです。
まとめ
文句なしで最強の恩恵なのが初代GOD。一撃10万枚の破壊力はパチスロ史上最強の子役といっても過言ではないでしょう。
5号機のGODだとアナザーゴッドハーデスのGOD揃いが最強ですが、安定して純増3枚×5セットが保証される凱旋の方が最低保証枚数は上。どちらを好むかは人によりそうです。
低投資でGOD揃いを引くことを考えると、コイン持ちの良いポセイドンを打つのが一番合理的といえそうです。
機種によって多様な恩恵を持つGOD揃い。これからどんなGOD揃いが登場していくのかが楽しみですね。
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