2018年秋にパチスロはついに6号機時代を迎えることとなりました。
5号機のAT規制があってからは3年ほどの月日が経ったかと思います。規制に次ぐ規制で目まぐるしい3年間でしたが、その歴史をざっと振り返ってみようと思います。
AT末期~新基準へ (2015.1~2015.8)
旧基準機の最期 (2015.1~2015.5)
ミリオンゴッド神々の凱旋。5号機ATの末期を象徴する台です。アクセルATによってコイン持ちを極限まで減らし、深い天井に絶大な恩恵を付け、一撃性に特化した台。爆裂性という面では5号機最強といえる台です。マイナス5000枚OVERのスランプグラフも万枚突破のスランプグラフも毎日見かけたような台です。
一方、従来のゲーム数上乗せ・セット乗せというゲーム性が陳腐化してしまい、様々なゲーム性が模索された時期でもありました。5号機で人気を博したシステムを贅沢に盛り込んだ「黄門ちゃま喝」、バトル型の上乗せ機「ゴッドイーター」、シナリオ管理ATの「戦国コレクション2」、爆裂性と万枚達成率に最大に特化したゲーム性を持つ「修羅の刻」など、5号機のゲーム性の終着点を示す集大成的な台が生まれたのもこの時期です。
新基準高ベースAT機の登場(2015.3~2015.6)
新基準機が背負わされた枷は、ペナルティを作れないという縛りでした。AT機はペナルティを作れないがゆえに通常時のコイン持ちが1.5倍以上(凱旋などのアクセルATと比べると2倍近く)も良くなってしまい、マイルドなゲーム性にならざるを得なかったのです。
当たり確率が同じという条件では、コイン持ちを1.5倍良くすれば出玉を67%ほどに削らなれば釣り合いが取れないわけで、打ち手が感じる出玉感は旧基準機と比べるとかなり少なくなってしまいます。この差をどう解決するかが新基準機の背負った使命でした。
そんな中、新基準機の先陣を切ったのは「麻雀物語3」でした。影響力の大きい版権でありそこそこの稼働はあったものの、その冗長なゲーム性を酷評する声が大半を占めました。
この台、天井が1500ゲームと深い割に、何も恩恵がないんですよね。
爆裂機並みの当たりの重さがあるのに、出玉はミドルスペック。純増が早いために、やっと入ったATの「駆け抜け感」も強烈でした。コイン持ちが良いので仕方ありませんが、それでも旧基準機のに慣れたユーザーからは手厳しく批判されました。
模索されるゲーム性(2015.6~2015.8)
ベーシックなA+ARTを目指した「エヴァンゲオン・希望の槍」「バイオハザード6」や、斬新で独特なゲーム性を追求した「シャドウハーツ」「リリカルなのは」「ジャッカスチーム」など、この時期には多様な機種が世に送り出されます。
一定の評価を受ける台もありましたが、障壁となったのが出玉のスピード感や期待感。A+ART機では設定差のない爆裂性や途切れることのない出玉感を演出することができず、大きな人気は得られませんでした。
新基準機の浸透(2015.9~2016.1)
ヒット作「強敵」(2015.8〜)
様々なゲーム性が探索される中、新基準機初のヒット作ともいえる台が誕生します。
「北斗の拳・強敵」です。
設定狙いの難易度の低さや、初代・北斗の拳を意識したシンプルな演出が好評を博します。マイルドな吸い込み・出玉感も、旧基準機の激しい荒波にうんざりしたライトユーザーからはかえって支持される点でした。
「強敵」のヒットの要因としては、店がこの台を大切に扱ったことも大きいでしょう。ハイスペック機でないゆえに店も頻繁に高設定を投入でき、新基準機では初のメイン機種となりました。
ガルパン(2015.10)
一撃性を削り、ライトスペックを目指した「ガールズ・パンツァー」は高ベースAT機への突破口を示した作品です。初当たりは重いながら、多彩なチャンスゾーンを用意して通常ゲームを飽きさせない手法。毎ゲームに何かしらの意味を持たせたAT。
演出の作り込みや多彩さは旧基準機を凌駕しており、射幸心よりも純粋なゲーム性を追求したゲーム性というスロットの新しい方向性を示したともいえるでしょう。
革命機・リノ(2015.12)
規定の穴をついた「純ボーナスが連チャンする」革命的なシステムを作ったのが「リノ」でした。コアなゲーム性ゆえに大人気機種になるまでには至りませんでしたが、新しいパチスロの一ジャンルを切り開いたことには間違いなく、息の長い機種になりました。
迷走期(2016.1~2016.6)
ここにきて新しくAT機への規制が入り、高純増機を出すことができなくなりました。
メーカーは純ボーナス(MB含む)を必ずゲーム性に組み込まなければならなくなり、出玉速度という武器を失います。
ライトスペックの台(2016.1〜3)
AT機という手段を奪われ、一方でA+ART機はユーザー受けの悪いままホールから撤去されていく状態。そんな中、第三の道としてライト路線が模索されます。
「偽物語」「マジカルハロウィン5」が代表的ですね。低純増RTにボーナスを絡めて出玉を伸ばす、ノーマル機とART機の中間のような台です。
終日プラスマイナス500枚程度のレンジで推移してしまうことも多く、ギャンブル性を求める大半のユーザーにはウケの悪い台でした。設定ありきのゲーム性は、ホールに置かれている台のほとんどが低設定という状況では受け入れられにくかったのです。
AT機の残滓(2016.1〜2016.4)
最後のAT機が出たのもこの時期です。特に流行したのが、擬似ボーナスの連チャンで出玉を作るゲーム性の台。「南国物語」「ドッドパルサー」「戦国乙女2」など。
これらがヒット機種「沖ドキ!」を意識して作られたことは間違いないですが、高ベース高純増ののっぺりとしたゲーム性には限界があり、息の長い機種はありませんでした。打ち手からしてみれば、沖ドキを劣化させた台としか感じられないですからね。
模索期 (2016.7~2017.3)
名機継承
閉塞感が漂う中、「コードギアスR2」を皮切りに人気機種の続編が次々と販売されます。
「魔法少女まどか☆マギカ2」は、2010年代前半のような王道的で波の穏やかなA+ART機を目指した機種です。初代の爆裂性を支持するファンからは不評だったものの、台の完成度は高く、ロングヒット機種になりました。
転生の後継機を目指したのが「北斗の拳・修羅の国篇」です。高設定域の破壊力は転生を凌駕する一方、転生の魅力だった一撃万枚達成率は大きく後退してしまい、初代を凌駕する人気には至りませんでした。
「バジリスクⅢ」「モンキーターンⅢ」「アナザーゴッドポセイドン」「モンスターハンター狂竜戦線」のように、システムを一新したことでかえってユーザーから酷評を受けることになった台も少なくありません。ネーミングインパクトだけで導入された台から一瞬にして客が離れていく様子は、5.5号機の厳しさを物語る光景でした。
ノーマルタイプのヒット
ART機が苦戦を強いられる中、この時期にはノーマルタイプの良台が数多く生まれます。
技術介入要素を前面に押し出した「3×3EYES~聖魔覚醒~」、マイルドな遊びやすさを重視した「クレアの秘宝伝2」「A-SLOT偽物語」、大人気機種ハナビのゲーム性を継承・アレンジした「バーサス」、シリーズとしては斬新なスペックを採用した「ファンキージャグラー」などが発表され、いずれも息の長い台になります。
2017年以降は次の記事に続きます。こちらからどうぞ。
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