5.9号機として発売されたアナザーゴッドハーデスの新作「冥王召喚」。
その前評判は散々なものでした。
批判は様々でしたが、「爆裂性能をウリにするGODのゲーム性と5.9号機の出玉上限規制が絶望的に相性が悪い」「凱旋・ハーデスが設置されている中であえてこちらを打つ理由がない」「間に合わせで慌てて発売した手抜き感が否めない(6号機ハーデスが間に合わなかったために5号機になったという噂がありました)」といった意見が多かったように感じます。
とにかく、数年間ホールの顔として稼働に貢献したビッグタイトル「ハーデス」の新作にも関わらず、誰も期待していないという異様な光景でした。
ハーデス2を「手抜き台」と評した広告を店に置いてしまうホールもあるくらいでした。
予想外の高評価&その理由
しかし、いざホールで稼働してみると評価は一転。
意外にも稼働が良く、ネットの掲示板を見ても「意外と打てる」とハーデス2をそれなりに評価する声が多いです。
もちろん、当初から懸念されていた3000枚で打ち止めになってしまうことへの不満は多いですが、発表当時の酷評に比べればかなりマシな状況です。
どうして冥王召喚が予想外の高評価を受けているのか。その理由を考察してみます。
5.9号機の対抗馬がいない
5.9号機はヒットマシンが「ディスクアップ」くらいしかない不作の時代でした。ディスクアップが実質的にノーマル機だと考えると、ARTタイプのマシンでのヒット作はゼロと言っても過言ではありません。
5.5号機のように「番長3」「星矢」などのメガヒット作、「政宗」「まどマギ2」「ギアスR2」「G1優駿倶楽部」などのヒット作があると、どうしてもそうした作品の出来と比較されてしまうわけです。ポセイドンの時は、ゲーム性こそ異なるものの同時期に出た番長3と散々比較されてたような気がします。
しかし、5.9号機では比較の材料がありません。5.9号機という土俵の上でハーデス2と戦わせる台がないんですよね。
だから、批判しようにも「こう作れば良かった」という代案の出し方がなく、批判が空回りしてしまう。まあ、5.9号機にしては良いんじゃないか?となってしまうわけです。
こんな台作る暇あったらアステカでユニバ版ディスクアップを作っとけよクソユニバーサルというツッコミはあるかもしれませんけどね。
ポセイドンの不満点の改善
ポセイドンが失敗作に終わってしまった大きな要因は筐体にありました。プロジェクションマッピング筐体は、液晶画面が箱の奥にあって何が起こっているかわかりにくく、演出の迫力や臨場感がまるでない。スロット史で一二を争うほどの残念筐体でした。ちゃっちい役物が脇についていたのも低評価ポイントです。
ハーデス2は、バズーカ筐体の迫力を継承しつつこれを増強したZEEG筐体を採用しています。ZEEG筐体は役物に頼らずに液晶演出の魅力を引き出すというバズーカ筐体の良さが活かされた筐体であり、ゴッドシリーズの良さを引き出すにはもってこいの台枠です。
また、ポセイドンの不評の一因ともなったごちゃごちゃした過剰に複雑なゲーム性を廃し、上乗せでゲーム数を伸ばして出玉を増やすというシンプル・王道のゲーム性に特化したのも評価点です。
「無駄引き」への配慮
5.9号機の最大の難点が3000枚でARTが強制終了してしまう部分です。
これはGODの爆裂性と相性最悪なんですが、ハーデスは無駄引きを感じさせないように工夫が凝らされています。
まず、大量上乗せ時(=完走確定)はゲーム数を表示せずにエンディングステージに移行し、確定役は押し順ナビで潰されます。エンディングステージ中の単調すぎる消化作業には賛否ありますが、エンディング中に「これ規制無かったら5000枚出てたのになぁ」というガッカリ感は取り払われています。
また、ART中の上乗せは押し順での図柄揃いがメイン。レア役の役割が低くなっているため、エンディング中にレア役を引いた時の残念感が抑えられています。
後は、ジャッジメントストックを即消費して上乗せを先に見せる演出。これのおかげで「ストックが残りこれだけあったのに……」みたいに歯がゆい思いをすることもないわけです。
手抜き台と評される割には、細かいところへの配慮が行き届いているなあという印象を持った人が多かったのではないでしょうか。
予想以上の出玉感
5.9号機はとにかく出ないというイメージを持っている人が多いです。上限規制のせいで爆裂機を出すメーカーが少なく、まとまった出玉を手にする機会が少なかったこと、規定の厳しさが原因でハイスペック機が出せなかったことから、実際の数値としても4000枚5000枚といった大量出玉を見かける機会が少なかったのが実情です。
ハーデス2は初当たりを重く設計し、かつ天井を無くしたことで、普通の初当たりの期待枚数を上げています。機械割が同じなのに上限規制・天井撤廃(天井恩恵なし)があるおかげで、一回あたりの獲得枚数の中央値が初代ハーデスより格段に高くなっていることは間違いなく、純増が少ないためにAT消化ゲーム数も長い。得られる出玉感が初代を凌駕していることは間違いないでしょう。
そもそも、初代ハーデスでも3000枚を超える出玉を作るには特化ゾーンでの異常な上乗せや確定役の重ね引きが必要だったわけで、そうした「事故」に遭遇できるほど初代ハーデスを打ち込んでいない人からすれば、出玉上限規制はさほど影響ないと感じられるわけです。
実際のスランプグラフやレンジを見て、「思ったよりも出るな」と感じた人は少なくないはずです。
6号機の展望
ハーデスは5.9号機として販売されましたが、出玉上限規制があるのは6号機も同じ。むしろ上限枚数でいえば6号機の枚数の方が厳しくなっています。
こうした規制とは、細かい当たりを刻んでいくゲーム性の方が相性がいいことは明白ですが、かといって爆裂性を求めるスロッターはそもそもそんなちまちまとした当たりを求めていないわけで、
ハーデスがパチスロ機として受け入れられるかどうかは、上限規制のある中で爆裂機がゲームとして受け入れられるのかどうかのひとつの試金石だといえます。
これがそこそこ長持ちするならパチスロ機の未来はまだ明るいといえますが、しかしほとんど5.9号機や6号機の上位互換ともいえる旧基準機がホールで幅を利かせている現状を考えるとそれもまた難しいのかなと思います。上限の3000枚っていうのが条件として厳しいですよね。
「思ったよりはよくできた凡台」という立ち位置でじわじわホールから姿を消してしまうのではないでしょうか。。
せめてもう少し機械割が高かったら良かったんですけどね。。
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