とうとうパチスロ6号機時代が到来してしまうということで、5号機時代を彩ったパチスロのサウンドトラックを振り返ってみたいと思います。
戦国無双
戦国の世界観を表現した和風で壮大な音楽が詰まった一枚です。「戦国無双」は5号機初期を代表するパチスロであり、音楽のファンも多い作品です。
開幕のトラック「真の武士」はビッグボーナス音楽ですが、サウンドトラックの開幕にふさわしい、期待感・高揚感を煽る一曲です。大河ドラマのオープニングテーマかのような興奮を味わえます。ビッグボーナスの音楽は他にも「己が運命」「天下無双」と収録されていますが、そのどれもが趣を変えながらも戦国無双の「和」の雰囲気を体現していて聞いていて面白いです。
ジャケットの画像にあるように、この機種は特徴の異なる三人の武将をテーマにしたパチスロ機ですが、その個性は生かされています。彼らの個性の違いは曲にも反映されています。一言で言い表すならば、前田慶次は「軽妙」、服部半蔵は「ダーク」、真田幸村は「王道」でしょう。
私的なお気に入りは、ミッション中音楽の「砦」「天守閣」「見張り台」など。短いフレーズのループですが、緊張感が表現されていてとてもクールです。
旋風の用心棒
旋風の用心棒は4号機のリメイクマシンです。
バーが揃えば激アツとか、ATとボーナスをループするゲーム性とか、当時にしては斬新な要素を盛り込んだマシンでしたが、爆裂性の低さからか元アニメのマイナー具合からか、サラリーマン金太郎や北斗の拳のようにブランドを確立させることはありませんでした。
そんな、愛されるべきマイナー台ともいえる旋風の用心棒が5号機時代にリメイクされたのが「胡蝶の記憶」です。パチスロ機としてはヒットしませんでしたが、古くからの名曲を継承しつつもカッコいいボーカル曲が追加で搭載されたことで、サウンドトラックとしてはとても聞きごたえある一枚が仕上がりました。
サントラ最大の魅力は、ヴィジュアル系テイストのGRANRODEOの名曲たちが漏れなく収録されているところです。ゴリゴリのバンドサウンドは、無骨で男臭い台の雰囲気によくマッチしています。
インストゥルメンタル曲で外せないのはやはり「旋風チャンス」。短いギターフレーズでここまでキャッチーでここまで興奮を煽れるのかというBGM。初代BBの曲も色褪せない名曲です。
この作品が失敗したためか、A+ART機を最後に続編は発売されていません。サラリーマン金太郎とかアラジンをリメイクするくらいなら、こいつをAT機としてリメイクして規制前の爆裂AT機として出せば面白かったのでは、なんてぼやいてみます。今さら言ってもどうにもなりませんけど…
押忍!サラリーマン番長
大都技研の機種は、歌ものとインストゥルメンタルとのバランスが非常に良いのが特徴です。初代吉宗にしても、ボーナス中の派手な歌つき音楽がゲーム性を盛り上げる一方で、「鷹狩り」「高確率」のような前兆ステージ音楽も印象的でした。もっといえば、ベット音やリールウェイト音も機種ごとによく作りこまれています。そもそも、パチスロ台で「いかに派手な音を鳴らすか」が追及されるようになったのは、吉宗爺ビッグのジャキーン音がきっかけではないでしょうか。
そんな風に音に対してこだわり抜いた機種を世に送り出してきた大都技研ですが、こうした系譜の集大成的な作品が、サラリーマン番長です。
収録されている歌は、3種類のキャラクターに対して全8曲。鏡・雫の新キャラに3曲ずつも新曲が割り振られており、そのどれもがフルサイズ。聞きごたえ抜群です。私的には、次回天国確定鏡BB中に流れる「ジャジャス・ゴージャス」が好きですね。
それよりも凄いのが、頂ラッシュ中のミュージックの多彩さです。ステージや状態ごとに分かれており、全14曲も収録されています。ギター系のインスト曲の多い轟AT、エレクトロ系インスト曲の多い鏡AT、キャッチーなメロディに富んだ雫ATと、世界観と音楽様式が対応しているのが素晴らしいです。
もうちょっとATが軽くてサクサク上乗せすればパチスロも楽しかったんですけどね。
交響詩篇エウレカセブン2
エウレカセブンは主題歌に名曲が多いことでも有名なアニメですが、そうした珠玉の名曲に引けを取らないバッググラウンドミュージックを収録したのがこのサウンドトラックです。
パチスロのゲーム性は初代ほどの人気を得なかったものの、BGMの進化は耳を疑うほど。シンセサイザーを多用した電子的な音楽は、重機械がぶつかり合うアニメの雰囲気にマッチしており、パチスロオリジナルとは思えぬ完成度の高さです。平均2分ほどの音楽が12曲収録されているだけ、あっという間に聞き終わってしまいますが、それだけ熱量が凝縮されているともいえます。
私的なお気に入りは、七色雲海ステージで流れる「Infinite Colors」。七色雲海ステージはエウレカセブン2のゲーム性の中では打ち手にとって興奮度の高い場面のひとつですが、この曲は興奮させるというよりは、むしろミステリアス、妖しい静けさを感じさせるものです。キャッチーさには欠けるものの癖になる一曲です。
C-MODE中の各ステージのデフォルトBGMはどれも爽やかでキャッチーな曲で、これはこれでオススメです。ランニング中に聞きたいなと思えます。
戦国コレクション2
コナミがコンシューマーゲーム・アーケードの音楽ゲーム部門を擁するだけあって、KPE機種の音楽のセンスは素晴らしいです。この記事には書かなかったですが、マジカルハロウィンシリーズのサウンドトラックもどれも名盤揃いでオススメです。
さてこの戦国コレクション2ですが、全体を通じて占めているのは、パチスロ音楽というよりは王道ゲーム音楽という落ち着いた雰囲気。AT(世界制覇ラッシュ)中のステージはアジア・アフリカ・アメリカ・ヨーロッパと4種類の舞台を行き来するのですが、そんな目まぐるしくも壮大な世界観を支えるべく、ラッシュ中の音楽はとても完成度が高いです。
私的なお気に入りは「世界制覇ラッシュアジア1」。なんでもない普通のAT中のBGMでありながら、曲に起承転結があって奥深い。リードギターをボーカルが歌っていても遜色のないくらい綺麗な展開の旋律です。
ボーカル曲からベストを選ぶとすれば「輝跡」。アニメのエンディングテーマのような落ち着いた和風の曲です。もちろん、メインテーマソングである「光の扉」も王道アニメソングの風格がある名曲。
戦国コレクション2がリリースされたちょうど前後、それまで野放しだった5号機のAT機への規制が決まり、爆発性を競ったAT機時代には終焉の兆しが見えました。このアルバムを聴いていると、当時ホールに漂い始めた哀愁を思い出すからか切ない気持ちになるんですよね。
アナザーゴッドポセイドン・海皇の参戦
パチスロ出玉規制が進んでいく最中に出されたゴッドシリーズのスピンオフ的作品。機種は大失敗してしまいましたが、音楽に関してはシリーズで一番作りこまれているといっても過言ではありません。
ART中の基本ステージの音楽である「Triton」「Amphitrite」「Poseidon」はRPG音楽、映画音楽のような重厚で壮大な雰囲気を漂わせており、それだけ聞けばパチスロ音楽だとは思いもよらないような完成度の高さです。
一方で、スピード感の溢れるエレクトロミュージック「G-ROAD」、特化ゾーン中に流れるメタル風の「GOD FURY」など、カバーしている音楽のジャンルは非常に幅広く、終始聞いていて飽きません。
サウンドトラックの中で一番の注目を引くのが「Roar of the Sea King」。映画音楽のような落ち着き、アルバム全体に通じるクラシカルな雰囲気を保ちながらも、低音域でドラムンベース的リズムを鳴らすことでエレクトロな疾走感を加えた一曲です。静と動が曲の中で絶妙に調和しており、ゴッドシリーズ(というかパチスロBGM)では斬新な曲調。音楽ゲームだとこういう曲って多いんですけどね。
アルバムの後ろの方に収録されている「Ancient Sea」は、シリーズ共通のゴッドステージBGMをローテンポにアレンジしたもので、ヒーリングミュージックのような「癒しのゴッドステージ」を楽しめます。前作のミリオンゴッド・神々の凱旋では曲の迫力を増やすオーケストラ風アレンジがされていた分、それとは対照的なアレンジということで楽しく聞けます。
サウンドトラックのどこを切り取っても違うジャンルであり、それでいて名曲が聴けるというのは非常に面白いです。パチスロの方もこれくらい作りこまれていれば長生きしたのかもしれませんが、いかんせん産み落とされた時代が悪かったですね……
バーサス
ユニバーサル続きになってしまいますが、最後の一枚はAタイプ機種からバーサス。
レビューすることといえば、バーサスの赤7BGMが本当に格好いい。これに尽きます。
バーサスは実機で流れる赤7BGMに加え、「Seven Swinging R」「GOLDEN SEVEN R」など、様々なアレンジバージョンが収録されています。たまらないですね。
一番たまらないのが、「THREE RED WAY」。バーサス・HANABI・サンダーVの3種類の赤7BGMをリミックスしたメドレー曲。いわば名曲の欲張りセットです。アクロスサウンド好きの人は買うしかない一枚です。
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